173:柳生杖を作ってみた(3) ~文献&検討経緯&課題~: (旧 ... | 杖術 杖の適切な長さについて
スマートフォン専用ページを表示(旧)本日稽古日和 〜日子流体術江東支部〜 【移転しました】日子流とは、体術と小太刀術から成る総合武道で、小柄な体格で大きな相手に無理なく対応する技術体系に加え、短刀や棍棒といった脅威への、優れて合理的な方法論が特徴です。
海外のポリスアカデミーなどで高く評価されている日子流体術。
本格的な武道としてはもちろん、護身の備えとして、ともに健やかな心身を養って行きませんか?【移転先はこちら】<<172:2月の稽古予定|TOP|174:柳生杖を作ってみた(4)〜バグフィックス版(石突の改良)〜>>2019年01月27日173:柳生杖を作ってみた(3)〜文献&検討経緯&課題〜「柳生杖」あるいは「十兵衛杖」でgoogle検索をかけるといくつものヒットがありますが、ネット上に公開されている中ではほとんど唯一の、おそらく信頼に値するであろう資料がこちらのPDF(リンク先:『柳生新陰流「十兵衛杖」の研究』赤羽根大介著。
以下「資料」。
総量21ページですがP.68からスタートしています。
混乱のないようページ数は資料記載の通りで)。
素材・製法はこの資料に沿うよう努めつつ、長さは自分の杖術に合わせて製作しております。
また、上記資料の他、奈良の柳生ゆかりの地を探訪された方のブログに掲載されていた写真もたいへん参考になりました。
貴重な資料や写真を公開されている各位に御礼申し上げます。
私のような物好きが他にいないとも限りませんので、備忘録を兼ねて各スペックについて詳細&所感を。
塗り、とくに漆については前々から感じていた疑問があり、製作を通じて考えが大きく変わりました。
誰かのお役に立てればと願いつつ拙い考えを記します。
<長さについて…満足度◎>資料P.87によれば「長さ四尺定法なれども、それ我がたけ丈〔その人の身長〕にほうして〔合わせ〕為すべく事。
四尺以上も悪しき。
」とされている一方、P.71には「柳生十兵衛が『御杖』として遺したもの」から尾張柳生19世柳生厳長氏が考案した杖術があり、これは3尺8寸5分の仕込杖を用いるものであった…という記述も見られます。
してみると、オリジナルの柳生杖は4尺(121.2cm)以内で各々が按配のよい長さで製作しており、後世において3尺8寸5分(116.7cm)を定寸とする体系に整理された、ということになりますでしょうか。
今回の製作目的は伝承の復元ではなく実用品なので、寸法は自分の用途・技法に合わせて90cmとしました。
想定している使用法は黒岩合気のステッキ術です(↓14〜15秒付近から)。
(昔々、動画編集の練習がてらに作り、当時の知り合いにだけ配っていたもの…の一部)この技法は順手・逆手とも拳の間隔を剣のそれとする都合上、大刀の定寸をわずかに欠くくらいがよく、「1mほどの棒きれ」が推奨されています。
黒岩洋志雄先生が指導されていた立教大学では陣馬山の登山杖を用いていました。
確か90cm前後だったはずです(※)。
(上の写真で比較においているのは、立教の稽古に参加していた頃から使ってきた、登山杖とほぼ同寸の木刀)P.87にも「我が杖につきて、よきごろに尺打たせ〔す〕べき事。
(意訳:自分の杖なんだからいい感じの長さに作りなよ)」とあります。
上限に収まり、主旨を守り、短い方の限度については特段の記述なし。
よって、ある意味完全に教えの通りかと。
なお田中光四郎先生からは、「非常に使い勝手が良い。
杖としてもちょうどよく、杖の持ち方からひと息で攻撃に移れる」との評価をいただいております(防御に…ではないところがやはり田中先生です)。
<重さについて…満足度○>約800g。
長さが今日再現されている柳生杖の約77%にあたることから、逆算するとあちらの重量は1kg超えと推測されます。
そういうバランスですと、私の使い方にはちょっと不向きですな。
上記の通り、私にとってはこれが「ほぼ」理想的なバランスです。
切っ先の走りがあとほんの少し軽ければ文句なし。
調整するとしたら先の柄の石突か…。
<芯材について…満足度◎>資料P.87に基づき断面1分×3分(3mm×9mm)の鉄片3本を用意したいところでしたが、そういう規
海外のポリスアカデミーなどで高く評価されている日子流体術。
本格的な武道としてはもちろん、護身の備えとして、ともに健やかな心身を養って行きませんか?【移転先はこちら】<<172:2月の稽古予定|TOP|174:柳生杖を作ってみた(4)〜バグフィックス版(石突の改良)〜>>2019年01月27日173:柳生杖を作ってみた(3)〜文献&検討経緯&課題〜「柳生杖」あるいは「十兵衛杖」でgoogle検索をかけるといくつものヒットがありますが、ネット上に公開されている中ではほとんど唯一の、おそらく信頼に値するであろう資料がこちらのPDF(リンク先:『柳生新陰流「十兵衛杖」の研究』赤羽根大介著。
以下「資料」。
総量21ページですがP.68からスタートしています。
混乱のないようページ数は資料記載の通りで)。
素材・製法はこの資料に沿うよう努めつつ、長さは自分の杖術に合わせて製作しております。
また、上記資料の他、奈良の柳生ゆかりの地を探訪された方のブログに掲載されていた写真もたいへん参考になりました。
貴重な資料や写真を公開されている各位に御礼申し上げます。
私のような物好きが他にいないとも限りませんので、備忘録を兼ねて各スペックについて詳細&所感を。
塗り、とくに漆については前々から感じていた疑問があり、製作を通じて考えが大きく変わりました。
誰かのお役に立てればと願いつつ拙い考えを記します。
<長さについて…満足度◎>資料P.87によれば「長さ四尺定法なれども、それ我がたけ丈〔その人の身長〕にほうして〔合わせ〕為すべく事。
四尺以上も悪しき。
」とされている一方、P.71には「柳生十兵衛が『御杖』として遺したもの」から尾張柳生19世柳生厳長氏が考案した杖術があり、これは3尺8寸5分の仕込杖を用いるものであった…という記述も見られます。
してみると、オリジナルの柳生杖は4尺(121.2cm)以内で各々が按配のよい長さで製作しており、後世において3尺8寸5分(116.7cm)を定寸とする体系に整理された、ということになりますでしょうか。
今回の製作目的は伝承の復元ではなく実用品なので、寸法は自分の用途・技法に合わせて90cmとしました。
想定している使用法は黒岩合気のステッキ術です(↓14〜15秒付近から)。
(昔々、動画編集の練習がてらに作り、当時の知り合いにだけ配っていたもの…の一部)この技法は順手・逆手とも拳の間隔を剣のそれとする都合上、大刀の定寸をわずかに欠くくらいがよく、「1mほどの棒きれ」が推奨されています。
黒岩洋志雄先生が指導されていた立教大学では陣馬山の登山杖を用いていました。
確か90cm前後だったはずです(※)。
(上の写真で比較においているのは、立教の稽古に参加していた頃から使ってきた、登山杖とほぼ同寸の木刀)P.87にも「我が杖につきて、よきごろに尺打たせ〔す〕べき事。
(意訳:自分の杖なんだからいい感じの長さに作りなよ)」とあります。
上限に収まり、主旨を守り、短い方の限度については特段の記述なし。
よって、ある意味完全に教えの通りかと。
なお田中光四郎先生からは、「非常に使い勝手が良い。
杖としてもちょうどよく、杖の持ち方からひと息で攻撃に移れる」との評価をいただいております(防御に…ではないところがやはり田中先生です)。
<重さについて…満足度○>約800g。
長さが今日再現されている柳生杖の約77%にあたることから、逆算するとあちらの重量は1kg超えと推測されます。
そういうバランスですと、私の使い方にはちょっと不向きですな。
上記の通り、私にとってはこれが「ほぼ」理想的なバランスです。
切っ先の走りがあとほんの少し軽ければ文句なし。
調整するとしたら先の柄の石突か…。
<芯材について…満足度◎>資料P.87に基づき断面1分×3分(3mm×9mm)の鉄片3本を用意したいところでしたが、そういう規